アフタヌーン公式サイト - 講談社の青年漫画誌

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2023年秋のコンテスト最終選考結果発表!
総評

選考委員:安野モヨコ先生総評『働きマン』『シュガシュガルーン』『ハッピー・マニア』

今回は驚くほど高いレベルの作品ばかりでした。まずは絵が全体的に上手くストーリーも作りや構造がしっかりしているものばかりで、完成度が高かったです。どの作品も本当におもしろくて、選考しているというより漫画雑誌を読んでいる感覚で楽しくかったです! 一方で、近年の傾向なのだろうか、ラストがフワッとしている作品が多かった印象です。キメキメに締める必要は決してないけれど、読者が作品を読み終えた時に感じることに直結するので、最後の印象はとても大切です。余韻を残すようにスーッと消えていくラストだとしても、その前に強い印象があるとないとではだいぶ違うので、意識していただければと思います。


編集長総評

何度も申し上げてきた話ですが、読み切りを描くコツの1つは登場人物の人生で最大の転機を描くことだろうと思います。大きな決断をして転機を得た、でもいいですし、思いもかけない事態に直面してその瞬間を境に生き方が変わった、でもいいです。数十ページの読み切りを読む醍醐味は、1ページ目とラストのページで登場人物にどれだけの変化が訪れたか、その様を目撃できる点にあります。そうした変化を促すもの、それが転機です。今回大賞を受賞した『燃えたい心』、不意に訪れた転機がどうしようもなく主人公達に心の変化を強要します。くるおしいその様子をぜひご覧ください。

四季大賞

賞金100万円

Intuos Pro Medium

『燃えたい心』

南寝

WEBで読む! WEB未公開
あらすじ

佐久良が所属するバスケ部は先日インターハイ出場を決めたばかり。しかし部員の精神的支柱だった顧問の遠山が放火の容疑で逮捕されバスケ部は混乱。そんな中、逮捕される直前の遠山からキャプテンに電話があったこと聞かされる。

安野モヨコ氏のコメント

画力、ストーリー構成、そして意外性をすべてバランスよく持ち合わせた、大変おもしろい作品でした! キャラクターの描写も秀逸。主人公の佐久良の説得力と放火の容疑で逮捕された顧問の遠山先生の危うさから、バスケ部のキャプテンや部員たちなど周辺の登場人物まで、人間味あふれる表情とセリフで生き生きと表現されていました。顧問の放火という意外すぎる展開をしっかりとひとつひとつ紐解いていく過程の描き方が、投稿作のレベルを超えている。本当にもう、最高。すべてが最高におもしろかった。

受賞者のコメント

落雷の光と爆音で大荒れだった雨の日に大賞受賞の連絡をいただいて、自分の人生にもこんなドラマチックな瞬間があるんだなと思い出してはビリビリします。大変光栄です! ありがとうございます!

安野モヨコ特別賞

賞金60万円

『きらきらひかる』

瀬戸田久美(35)

WEB未公開 WEBで読む!
離島に赴任した高校教師の水島は、生徒の佐久間にアイドルオタクであることを知られてしまう。そんな中、水島の推しの引退が発表される――…。
安野モヨコ氏のコメント

先生のキャラクターは実際にそこにいる人のような温度感と立体感があり、佐久間は高校生らしい硬さのある冷めた感じで描かれていて、この対比が非常によかったです。細かい回想も無駄がなく、全部おもしろかったです。読み終えたところで続きがどうなるのかを知りたい…と思ったのは、一読者として漫画を楽しめた証拠です。それが一番大事です。

受賞者のコメント

受賞ありがとうございます! 今は舞い上がって「うれピー♡」しか言葉が出ませんが、結果におごる事なく、これからも真摯に努力して参ります。うれピー♡

四季賞

賞金60万円

『ハイヒールの団地少女』

岩渕杏香(22)

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団地に住むエリナは特待生として念願の私立高校に合格するが、入学早々いじめの標的に。親友のマリとアヤに相談するといじめの主犯格への復讐を提案される。
安野モヨコ氏のコメント

終盤近くの女子高生3人の下着ダッシュなど、少女たちの勢いや躍動感が画面からすごく伝わってきて素晴らしい。大好きなページです! 主人公の感情もエピソードも自然に共感できるし、いじめの表現が読み手にあまり負担をかけない構成になっていて、表現力の高さを感じました。次作は悪役の子たちもただの悪役ではなく、主人公たちと同様の解像度で描ければ物語の奥行きがさらに出るはず!

受賞者のコメント

このような賞をいただけてとても嬉しいです! エンタメ寄りの作品、つくるのがとても楽しかったです。今後はもっとリアリティを持たせながら描くことを意識していきたいと思います!

準 入 選

賞金30万円

『亜麻色の髪の乙女』

小石川珠子(24)

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大好きなピアノの先生に髪の色を褒められてから10年。時間は進むけれど天野紫苑の心は止まったまま。とある真実をきっかけに募るばかりの恋心の行方を、少女はついに決めなければいけない。
安野モヨコ氏のコメント

とにかく絵が素晴らしかったです! ストーリーも独自なテンポと視点で描かれていて、最後は味わいがありました。だがしかし本当に何と言うか、この絵だけでわけもなく物語が気になる感じ――「スター性」というのかな。もう一度見たくなる絵って、すごい才能なんです。

受賞者のコメント

好きな雑誌にご縁ができて嬉しいです。審査ありがとうございました! これからよろしくお願いします。


『上靴はもう描かない』

問松居間(26)

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櫛原は上靴にイラストを描いてと頼まれがちな女子高生。櫛原の労力を考えず、厚かましいお願いばかりしてくる人ばかりだが、甲田だけはちょっと違う。
安野モヨコ氏のコメント

独特な線と世界観をもった作品で、誰かの記憶を映写機で見ているような気持ちになる。同じトーンで統一された画面が美しく、日常の切り取りもとても上手い。普段からよく人を見ている作者ですね。物語、そして登場人物の心の動きがサラサラと進み、読んでいる側も血液がサラサラになっていくのような爽やかな読後感がよかったです。

受賞者のコメント

漫画を描いていて過去に言われた呪いがいくつかあるのですが、今回、安野さんからいただいた選評は問松のお守りです! 漫画を辞めてもスクショを何度も見返します。


『ブラックデザイア』

かげやま六美(29)

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主人公の雁屋は広告代理店の孫請けデザイナー。想像通りのブラックな仕事をこなす日々に辟易する中、心を食べる怪物に出会う。
安野モヨコ氏のコメント

勢いがあって、キャラクターも立っているおもしろい作品でした! 特に主人公が淡々と仕事をこなすテンポのいいシーンと、心を食べる妖怪が出てくるシーンの暗い夢のような対比照がすごく印象的でした。画力が高く、表現力も突出していますが、女性キャラクターの描き分け――たとえば髪質、手、体系などをもう少し工夫できるとさらによくなります。

受賞者のコメント

準入選ありがとうございます。未熟ながら会社員時代の感情を爆発させ描き上げる事ができてスッキリしています。頂いたお言葉を胸に精進します!


『したたかな細胞』

新太そう(19)

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葬儀で再会した幼なじみのふたり。「死は自然事象だから感情を抱く必要はない」「じゃあこの寂しさはどうすれば」死生観の隔たりがもたらす相互理解。
安野モヨコ氏のコメント

主人公二人の人生が物語の中で自然に表現されていて、引き込まれて読みました。二人が向かい合って心情を吐露するシーンは、観念的なセリフと現実的なセリフのバランスが絶妙。ギリギリを攻めている感じがよかったです。とてもおもしろかっただけに、ラストがもっと印象強く残ってほしいと思いました。

受賞者のコメント

大切な話が描けたので、このことを励みに更にたくさん描きたいです。ありがとうございます!

佳作

賞金10万円

『あなたへ送る返礼品』

真の果(22)

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担任の浅見に好意を募らせる中学3年生の吉田。卒業式に迎える幼い恋の結末は!?
受賞者のコメント

賞をいただきありがとうございます。自身のペースでこれからも制作していきたいです。

『5000マイル先のあなたへ』

マツダイヨ

WEB未公開 WEBで読む!
今井桜はクルド人の母を持つ。母親は認知症を患い、日本語を話すことができなくなってしまった。
受賞者のコメント

「ドブ川の妖精・ドベッティ」というペンネームにしようかと迷いましたが親戚に止められました。

『平行線の矛盾(アイロニー)』

有江夕夏(23)

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人の心が読める樹は、唯一読めない妹の七実が彼氏とセックスしているのを目撃してしまう。
受賞者のコメント

本当に嬉しいです。これからもっと良い漫画を描きたいです。

『血より濁る水』

矢子園知弓(27)

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親の仇を討ちたいエチャと依頼を受けた殺し屋のホン。しかし二人の本当の関係は…!?
受賞者のコメント

佳作ありがとうございます。次回こそ上位入賞を目指します。

『カロートより愛をこめて』

油布暁

WEB未公開 WEBで読む!
大人は身体の弱い弟しか見ていない。「僕」の世界は、自分だけを慕)う幽霊に出会って輝きだした。
受賞者のコメント

昨年の祖父の葬式に行けなかったので、代わりに漫画を描きました。じいちゃん、賞とったよ~。

『苦しくなくて、すこし苦い』

廣瀬颯翔(25)

WEB未公開 WEBで読む!
お別れして同棲を解消することに決めた二人の、家を出るまでの切なくて悲しい数日間。
受賞者のコメント

佳作嬉しいです。そして悔しいです。いただいた賞に感謝しつつ、悔しさをバネに頑張ります。

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