アフタヌーン公式サイト - 講談社の青年漫画誌

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2022年秋のコンテスト最終選考結果発表!
総評

選考委員:安野モヨコ先生総評『働きマン』『シュガシュガルーン』『ハッピー・マニア』『後ハッピーマニア』

今回も絵・ストーリー共にレベルが高かったです。
賞を決めるにあたり「テーマ」と「表現力」の2点を軸に読みました。その中でも、私がとくに重視しているのは「オリジナルの表現力」です。
どこかで見たことのあるキャラクターやセリフはやっぱり勿体ない。たとえ、テーマや伝えたいことが新しくても、使い古された表現技法や他人が発明した言い回しを多用すると、読んでいる側には新しくもなんともないものとして流されてしまいます。
大量に漫画が溢れた世の中だからこそ、どこかひとつでも良いので「これは自分が感じて自分が出した言葉であり漫画である」といえる表現を意識し、作品に向き合ってください!


編集長総評

今回大賞を受賞した『どくだみの花咲くころ』、素晴らしい作品です。
地球に80億人の人がいて、日本にも1億2千万人の人がいて、それぞれの心の中で人に伝えようのない気持ちが日々点滅しています。
作者の城戸志保さんはその中から、誰からも発見されるはずのなかった清水くんの気持ちをぱっと生け捕りにして、僕らに見せてくれました。
ささやかだけどとても尊い、滅多に見ることのできない激情です。
四季大賞もいいんですが、本当はノーベル文学賞を差し上げたいと思うくらいです。生け捕りの気持ちを指でなぞる文学鑑賞の醍醐味を味わえます。

四季大賞

賞金100万円

『どくだみの花咲くころ』

城戸志保

WEBで読む! WEB未公開
あらすじ

癇癪持ちで予測不能な動きをする信楽くんはクラスでも浮いた存在。なんでもソツなくこなす優等生の清水は彼が作る図工の作品に惹かれ、信楽くんの観察を始める。

安野モヨコ氏のコメント

絵柄やセリフ・エピソードの選び方に独創的なセンスを感じる作品でした。とくにキャラクターが良かったです。最後まで「分からない人」として描かれている信楽くんと、根拠なく「信楽くんを自覚なく傷つけるだろう」と言い続けている清水。なんとなくまとまらない二人のやりとりが、作品の無造作な美しさに繋がっていると思います。この無造作な感じは、城戸さんの個性であり武器になると思うので、今後の作品が楽しみです。

受賞者のコメント

2020年に「ANNORMAL展」で原画を見て、原稿したい!と描いたのがこの作品です。巡り巡って講評していただき賞までもらって、まだ信じられませんが今最高の気分です。皆「ANNORMAL展」に行こう! ありがとうございます!

安野モヨコ特別賞

賞金60万円

『泣くなコタロウ』

ウツイサツキ(25)

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体が大きいことをからかわれている中学生のコタロウ。「そういうノリ」だと我慢していたが、ある日隠れて泣いているところをクラスの問題児女子・嵐さんに見つかってしまう。
安野モヨコ氏のコメント

キャラクターの行動やセリフと、ビジュアルの整合性がとれていて、個人的に好きな作品です。なによりもコタロウ、中川、嵐、クラスの友人など登場人物が、まったく別のキャラクターとして描けています。「このコタロウのセリフ、中川が言っても通じるよ!」ということが一度もなかったです。人はそれぞれ、違う価値観を持ち、異なる人生を送るものです。そのことをウツイさんが認識して、きちんとエンタメに落とし込めています。

受賞者のコメント

誰しも感じたことのある生きづらさを、こうして形にしたいとずっと思っていました。教員時代に出会った子たちが幸せになれるように願っています。もっといい漫画が描きたいです、これからも頑張ります。

四季賞

賞金60万円

『姉の夫』

塩里(25)

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大好きな姉が亡くなってから3年。春樹は今も姉の夫の九条誠が気に食わない。完璧でお人好しでキモイ。夫婦で住んでいたマンションから姉の遺品を取り戻そうと計画に出ると、誠の意外な一面を目撃することに。
安野モヨコ氏のコメント

ストーリーの運び方やページの展開、コマの構成、丁寧な仕上げ、とにかく漫画を描く上での基礎力が高く、今作は誌面に掲載されていても何も違和感ないクオリティーだと感じました。登場人物も全員魅力的! 3人それぞれがお互いを好きな理由が、リアルなエピソードに落とし込まれているので、キャラクターへの没入感が高い作品でした。

受賞者のコメント

四季賞、本当に嬉しいです。試行錯誤を重ね作り上げた物語が誰かの心に届くことは大変な喜びだと改めて思いました。これからも人の感情を大切に漫画で表現していきたいです。

準 入 選

賞金30万円

『飛んで回らない』

くのいちかずひと(21)

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中学二年の職場見学。機械の中でぐるぐると回転する蚕を眺めるだけのひびちゃんと、蚕を盗みに来たつゆりちゃんの、運命の邂逅がはじまる。
安野モヨコ氏のコメント

絵柄の可愛さもさることながら、キャラクターの表情や動きがイキイキとしていて、魅力的な作品でした。モノローグなど心理描写も丁寧なので、文字だけのコマも素敵。全体的に完成度が高いです。ひびちゃんと、つゆりちゃんのキャラクターが似通っている点が惜しいポイントでした。

受賞者のコメント

準入賞とても嬉しいです。四季賞が自分の描きたいものや、読んでくれる読者の顔を想像する大事な機会になっている気がします。


『拝啓、ゴミ箱のあなたへ』

嶋鳥ひとり(22)

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自ら命を絶った「僕」。目が覚めると、奇妙な男とツノが生えた少女が目の前にいて、そこは世界に見捨てられた全てのモノが行き着く場所「果ての国」だった。
安野モヨコ氏のコメント

画力が高く、どのシーンにも迫力がありました。とくに主人公の精神世界を緻密にリアルに描けています。きっとイメージが豊富にある作家さんなのだと思います。今回はひたすら主人公が内側へ籠る話でしたが、このエネルギーが外側を向いた時にどんな作品になるのか楽しみです。

受賞者のコメント

安野モヨコ先生に作品を講評して頂けてとても恐縮です。これからも描き続け成長できるよう、努力していきたいです。


『餓鬼道』

いさむひとし(27)

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三途の川で目覚めた男は記憶を失っていた。だが、年老いた舟守と対話し、餓鬼を斬り続ける中で、娘の仇討ちという宿願を思い出す!
安野モヨコ氏のコメント

画力、構成力は言わずもがな、アクションシーンやキャラクター造形など、技術的な面を褒めるのが憚られるほど完璧な作品だと思います。ストーリーも破綻なく綺麗にまとまっており、だからこそ、作者にしか描けない、描かずにはいられないテーマが見てみたいと期待せずにはいられません。

受賞者のコメント

この度は準入選を頂きありがとうございます。アクションやバトル漫画が大好きなので、今後もより読み応えのある漫画を描いていきたいです!


『東京人魚』

泥ノ田犬彦(30)

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工場作業員の歌姫(ひめ)は忙しくも充実した日々を送っていた。しかし妊娠が発覚したその日から彼女に暗い影が落ちた。
安野モヨコ氏のコメント

ストーリーの展開、画面作り、主人公の表情など、明るいシーンと暗いシーンのコントラストがとても激しく、そこが不思議な魅力となっている作品でした。主人公がなぜ出産に恐怖を感じるのかが不明瞭だったので、表現したいことを整理整頓し、読者に伝えようという意識をもって次回作へ臨んでみてください。

受賞者のコメント

5月中旬から1ヶ月半「止まったら折れる」を胸に回遊魚のように描きました。テーマに対し掘り下げが浅かった事を反省しています。

佳作

賞金10万円

『夢に沈む蒼』

佐倉光(31)

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深海魚好きの蒼汰は隣のクラスの変わり者・青之助に未知の生物探しに巻き込まれる!
受賞者のコメント

授賞ありがとうございます。今度こそ、もっと上にいけるよう精進したいと思います。

『秋山就活記』

スズ(24)

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AIロボットが生産職を担う時代。食品加工会社に面接に来たのは64歳の秋山だった。
受賞者のコメント

幸せでした。自分にもこのような機会を与えてくださって、誠にありがとうございます。

『血に惑う』

心煮イッキ(25)

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順風満帆の高校生活から、奇妙な病気の発症に苦しむ結実。そして周囲も冷たく変わっていく。
受賞者のコメント

佳作、ありがとうございます。次は引くほど面白い漫画が描けるように頑張ります。

『明けない夜と太陽の手紙』

ポシノ光(21)

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活発な少女・バーバルシアの暮らす街には太陽が無い。光を求め、彼女は外界へ歩を進める。
受賞者のコメント

記念受験のつもりで投稿したので有り難いです。また挑戦するのでよろしくお願いします!

『拝啓、君に送る』

卯月ショウ(23)

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画家志望の田神と、音楽家志望のハル。同級生二人の人生は残酷なまでに明暗が分かれる。
受賞者のコメント

賞を取れたのも支えてくれた両親、友達のおかげです。ありがとうございました。

『親子ごっこ』

マツダイヨ(25)

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孤独なアイドルとヤクザのオッサンの、不器用だけど切実な、秘密の親子ごっこ。
受賞者のコメント

賞をいただきありがとうございます。ペンネームをクレイジー竹本にしなくて正解でした。

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