今年で選考は3回目ですが、粒揃いでレベルが高く、大賞を選ぶのが一番難しかったです。上位三賞を差し上げたい作品がいくつもあって、最後まで迷いました。募集時に「作者のすさまじいパッションが込められている作品を常に探している」とコメントしましたが、ひねった設定や意欲的な題材など、チャレンジングな作品が多かったのも良かったです。
そんな中で、大賞の『いつか帰郷を口ずさんで』は、作者の思いが色々詰まった「よくこんな物語を描いたなぁ」と、一番熱量を感じた作品でした。このすごい意欲は、誰にでも伝わるはず。賛否両論巻き起こしそうで、読者に色々考察しながら楽しんでもらえたらという思いも込めて、大賞に推しました。
物語の中で主人公の誕生から最期まで人生全部を描くことは不可能です。物語を描くことは、主人公の生涯の一部を抜き出す作業だと言えます。では、主人公の生涯のどこを抜き出すのが正解か。1つの答えは「主人公が人生最大の決断をした瞬間」です。どんな人間でも人生最大の決断をした瞬間にはひとの心を揺さぶるドラマがあります。その瞬間を描くにはそこに至る心の過程を描く必要があり、決断後のその人の行く末を想像しうる余韻も必要です。それらが描かれていれば、その物語は主人公の人生の最重要な場面を描き切ったと言えるでしょう。今回大賞受賞の『いつか帰郷をくちずさんで』にはそんな瞬間が描かれています。ぜひご一読ください。
地震が2ヵ月後に来るとわかっていると人々はどうするか、という状況設定がすでに面白い。可愛らしくて見やすい絵柄で、さらに描こうとしていることがシビア。シビアと言っても、パーソナルな悩みではなく、地域のことを憂いている。重たさの方向性が社会的で意欲的な点も、高く評価しました。
このような栄誉にあずかり大変嬉しく思います。今作は課題も多く残りました。決して完成度への評価と過信せず精進して参ります。ところで、新人賞への投稿は実に6年ぶりだったようです。浦島太郎のような気持ちです。
この作品は、とにかく蚕が可愛い！ デフォルメしているわけじゃないのに、昆虫から気持ち悪いところを抜いて、読者に「可愛い」と思わせるように描けているのがすごいです。全体に画面がすっきりして見やすいのも良いですね。題材について深く調べて描けるというのも、すごく良いことです。
賞を頂き大変嬉しく存じます。評価して頂いた皆様に心よりお礼申し上げます。蚕の魅力や未知の領域を知る楽しさが少しでも伝われば幸いです。今後もクオリティの高い作品を目指し精進して行きます。
ワンシチュエーションコメディが好きなので、非常に面白かったです。破綻もなく、何も考えずに楽しめて、最後ほっこりしていい感じで終わる。短い中にも印象的なキャラがたくさん出てくる、完成度の高い、娯楽としてとても好きな作品です！
嬉しくて、最終にも残れない頃から応援してくれている人達を想って涙しました。今後成長して、皆さんが「藤原なら昔から知ってる」と自慢したくなるような作家になります。
線の綺麗さは、大賞受賞作とこの作品が抜きんでていました。背景の描写は今回送られてきた作品の中で一番綺麗ですね。ちゃんと自分の描線で描けています。終盤の絵柄で全編描かれている作品も見てみたいです。
四季賞に準入選出来たこと大変光栄に存じます。日頃より学習塾で漫画やイラストを描かせていただいておりますが、入試を終えた学生たちにひと時の安らぎを与えられるような漫画であれば良いなと思います。
このページ数を初めて描いたにしては非常に面白く、何とも言い難い魅力のある、引き込まれるマンガでした。描き慣れていないがゆえにちょっと……というところは色々あるのでしょうが、のびしろを感じて今後が楽しみです！
牛乳を飲んでいると血が濃くなっていく気がします。体は丈夫になっても漫画は濃くなりません。どうしよう。
読んでいて気持ちのいい作品で、読後感もすごく爽やか。まだ20歳とのことですが、漫画の大事な部分――キャラに感情移入させたり、読後感を良くしたりというところがすでに出来ていて、今後の成長が楽しみです。
画面から熱意と愛情が伝わるような漫画を描きたいです。たくさん課題はありますが、ひとつずつ丁寧にこなすよう精進します！
「最後どうなるんだろう」と興味を持ってするする読めて面白かったです。SFで脱出モノで、さらに百合。百合としても相手の人間性や存在に対して尊重がある、品のいいバランスで描けているところがとても良かったです。
準入選ありがたく頂戴します。洗濯機を買います。
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