選考委員:藤島康介先生総評『ああっ女神さまっ』『パラダイスレジデンス』『トップウGP』
全体的にレベルが高く、非常に興味をそそられる作品が多かったです。例年に比べてSFが多く、みなさんよく頑張って描いてきてくださったな…と。ただSFやファンタジーに必要な「絵の説得力」がない作品がいくつか見受けられました。常に“モノをよく見る”ことを意識すると良いと思います。コップひとつにしても、一方向からではなく、回して全体を観察してみる。なぜそうなっているのかを考えると構造が理解でき、絵にも説得力が出てきます。今回大賞になった『フィーンド』は画力が高く、絵にも説得力がありました。さらに平面からだけではなく様々なアングルから描くことで臨場感を出しており、これはモノを注意深く見ていないとできないことだな…と感心しました。観察力を養うことで構造を理解することができる。皆さんも今後ぜひ意識してほしいです。
編集長総評
連載作品でも読み切りでも投稿作でも、読者に「続きが読みたい!」と思ってもらうことはとても重要です。そう思ってもらって初めてマンガは連載が可能になり、商業化が可能になります。「続きが読みたい!」という情動はふたつの気持ちに由来します。ひとつは「登場人物のその後の変化が気になる」気持ち。もうひとつは「人物同士の関係性の変化が気になる」気持ちです。両方の変化を読者に気にかけてもらえたら、その作品は大成功です。今回の大賞受賞作『フィーンド』はその点、ふたりの重要な登場人物それぞれの変化と今後の関係性の変化が、微細でありながら物凄く気になります。 大賞にふさわしい作品、「アフタヌーン」3月号に掲載してますのでぜひお読みください。