総評

選考委員・沙村広明氏（『無限の住人』『波よ聞いてくれ』）

何度か四季賞の選考委員をつとめてきましたが、今までで一番絵がずば抜けてきれいで、すらすら見やすい作品が多い回でした。
27年前、新人だった自分は目立つことしか頭になかったが、今の皆さんはとにかく話作りが本当に上手くて驚きました。漫画、アニメやゲーム等のエンタメ作品をたっぷりと吸収しているからでしょう。
全体的に完成度の高い作品が目立ち、ネームをブラッシュアップすればすぐにでも連載ができそうな力量をもった描き手が多くて素晴らしかったです。その分、四季大賞に推す候補が何本かあり、大賞はこれだ!!となかなか決められずにいました。是非ご一読ください。

編集長総評

今回の四季賞は海外からの応募が多く、海外作家の入賞が複数あったことは幸いでした。
私が入社した1994年は今より大勢の海外作家がアフタヌーン誌面を賑わしていました。今と比較するとひと目で「外国の漫画だ！」とわかる作品が多く、日本漫画も巻き込んだ多様性が混沌としたエネルギーを生んでいました。多様性はエネルギーの源です。その後、日本漫画が海外で劇的に多く読まれたため、ぱっと見国籍不明の作品が増えました。悪いことではありませんが、エネルギーまで失われてほしくはありません。大賞作『あさがくる』をはじめ、多彩な作品が入賞したと思っています。皆さんぜひご覧になって、多様性が生んだエネルギーを体感してみてください。