総評

選考委員・安野モヨコ氏（『働きマン』『シュガシュガルーン』『ハッピー・マニア』）

実は、新人賞の選考は初めての経験でした。
まるで雑誌を読んでいる読者のような感覚で、楽しく選考させていただきました。
流行りに囚われず、描きたいことを貫いた作品。大胆なページ使いで描きたい絵を見せた作品。
どの投稿作も、描き手自身の「こうだ！」という強い意思とオリジナリティに溢れていて、非常に読み応えがありました。
これから商業誌で活躍するプロの漫画家を目指す上で、今回の選評も含め、ご自身の作品に対して様々な意見を耳にするはずです。
しかし、何よりも大切なのは「作者自身の伝えたいこと」。
今回の投稿者の皆さんが、これからもそこをブレずに追求した作品を描いてくださることを期待しています。

編集長総評

安野モヨコさんに選考委員をお願いした今回の四季賞、応募作も選考会も熱量の高いものになり、深謝申し上げます。
痛感したのは誰を主人公にするのかという選択の重要性です。極論すると、どんな人間でも主人公になり得ます。
誰にスポットライトを当て、誰の気持ちに寄り添い、誰に最大の汗をかいてもらうのか、その選択によって作者が描きたいことの大部分が決まります。
今までスポットライトが当たらなかった人間に光を当てれば、今までに見たことのない作品が誕生する訳です。
安野モヨコさんの作品を想起してもらえたらおわかり頂けると思います。
大賞受賞作品『他向け花』も新しい人間に光の当たった作品です。ぜひお読みください。