総評

選考委員・幸村誠氏（『ヴィンランド・サガ』『プラネテス』）

今年も大変意欲的な作品を、たくさんご応募いただきましてありがとうございました！
毎回、個性豊かな発送をお持ちの方が多く、僕の方が勉強させてもらっています。
今年拝読した作品は、作風や画風がそれぞれ独特で全体的にこんな傾向、というものがなかったように感じます。
「傾向がない」というのは良い傾向ですね。多種多様な作品が増えるというのは、描き手にとっても漫画業界全体にとっても可能性の幅が広がることだと思うのです。
今後も不思議な、風変わりな、そして今まで誰も見たこともないような作品が、四季賞からどんどん生み出されていくことを期待しております。

編集長総評

今回の四季賞は、政府による緊急事態宣言が発令された直前の4月5日が応募締め切りでした。
新型コロナウイルス感染拡大による影響なのかどうか立証は難しいのですが、今回の入賞作の多くに「メメント・モリ」すなわち「死を忘れるな」の精神が根底に潜んでいたように感じました。
とても大切なことで、「よく生きる」ことを全うするためには「いつか必ず死ぬ（メメント・モリ）」ということを、常日頃から心の片隅に留めておくことが必要です。優れた物語の多くが、そのことを読み手にそっと語りかけてくれたりします。
大賞受賞作『クマ送り』もそんな作品ではないかと思います。